転売自体は悪くない

経緯

こんなツイートをした。

そしたら知人からこんなリプがあった。

それに対し、高額転売についてその問題がその高額な価格に目が行きがちだけど、本当に解決しないといけないのは構造だよね、という話をした。

対岸でこっちを見ていた別の知人のそれっぽいまとめ。

高額転売と独禁法はここでは話が若干飛躍しているけれど、構造に問題があるという意味で共通していると思っている。
中途半端にツイートしたら案外興味を持つ人もいるんだなぁと思ったので、自分なりに思うことを書き散らしておくことにした。なのでこれはツイッターの延長であり放言です。

価格決定の構造

価格は需要と供給で決定する。他の要因もあるけれど基本的には需要と供給のバランスで決定する。価格設定は非常に奥深いもので、マーケティングの世界では重要なテーマになる。なぜなら、不確実な需要に対して企業がコントロールできるのは供給量と価格だからだ。 マーケティング用語に4P*1という言葉があり、その中にPriceが含まれている。そのくらい企業にとって価格設定は重要な話だ。
さらに、転売に関して知っておくべきことに価格弾力性*2がある。価格弾力性は価格の変化に応じて需要が変化する程度のこと。例えばコンビニで「あと20円Lチキが安ければついでに買うんだけどなぁ」ということがある。あれのことだ。
高額転売では価格弾力性が低い商品が狙われていると思う。価格の上昇で需要が著しく下がるのであれば高額転売は成立しないので。

価格競争

電気が3倍の価格になった場合、それを買わない人はいないだろう。しかし、他の業者が値上げせず元の価格のままだったらどうだろう。もちろん安い方を契約する。格安SIMの流れはまさにそうだったと思う。つまり、価格は需要と供給によって決定するけれど、供給業者が1つではない場合、品質が同じであれば安く提供する競合他社を選ぶ。

価格競争にはいくつか要因がある。まずはもちろん競合他社だ。トヨタであれば日産とかフォルクスワーゲンとかゼネラルモーターズ。全く同じ自動車は他社にはないけれど似たようなニーズを満たすのであれば最後は価格勝負になってくる。
他にはテスラのような新規参入もある。気がつけば電気自動車市場なんて言葉が生まれたくらいに競争が激化している。電気自動車は性能がかなり重視されるとは思うが、テスラはあまりに価格が高いので日経企業の既存の自動車メーカーの自動車を選ぶ人もいるだろう。
自動車はたまにしか使わないからタクシーのような代替品で済ませる人もいる。自分で運転することや自動車を保有することに執着がない人は、タクシーに乗車して支払う金額の総額が自動車の購入費用よりも安ければタクシーを選ぶだろう。

このように市場環境は複数の要因で成り立っている。今挙げた要因は5F*3と呼ばれるポーター*4が分類したものから例示した。

買い占めのメリット

5Fの中でも高額転売において非常に重要な要因は「売り手の交渉力*5」だと思う。これにより買い手へ強い態度で商売をすることができる。
各チャネル(Amazon楽天、メルカリ )で買い占めを行うことで本来は小売業者間で市場競争が行われていた商品を、特定の供給業者(ここでは高額転売業者)が独占販売する形になる。すると買い手は独占販売している高額転売業者からしか購入ができなくなるため、高額な価格でも購入せざるをえなくなる。だからこそ高額転売業者は高額に設定しても問題ない価格弾力性が低い商品を狙うと考えている。

価格の比較

これは余談だけれども、購買意思決定プロセスにはCDPモデル*6というものがある。そこには「情報探索」と「選択肢評価」というプロセスがある。インターネットの普及に伴ってECサイトで商品を購入でき配送が容易な地域に居住している人にとっては商圏というものが存在しなくなった。体感だけど、昔は家電を安く買うために電気屋をはしごして相見積もりをする話が多かった気もするけど、今となってはECサイトが標準価格になっている気がする。価格の参考情報がECサイトに集約されているため、高額転売業者はいくつかのECサイトを押さえることで市場全体の価格を決定することが可能になっているのではないかと思う。

だからやっぱり構造が悪い

世に言う転売erの倫理観がおかしいのは非常に正しいし、マスクの品薄と高額転売は社会的に損失でしかなかった。しかし、本当に悪いのはこの構造だと強く思う。
例えば地方でなかなか手に入らない商品を少し高い価格で販売するのは悪いことだろうか。極論だが商品を横に流している卸売業や小売業は悪いことをしているのだろうか。彼らは生産と消費を繋ぐ重要な役割を果たしている。本当に石を投げるべきは正しく自由市場で企業が価格競争を行って販売した商品を買い占め、自由市場を壊し、高額で販売することが可能な構造そのものだ。

おわりと補足

鉄は熱いうちになんとやらということで、かなり勢いで書いたので文章が散らかっているかもしれない。
興味がある人が読んで議論の種にでもなれば嬉しいです。元々は高額転売は構造を問題視せよって趣旨なので、社会がこっちの議論をしてくれるのは本望。

高額転売価格.com

高額転売は買い占めが前提にあるので、買い占めができない工夫が第一だけど、高額転売同士の価格競争を促すのもアリかもしれない。高額転売価格.com的な。一枚岩じゃないから勝手に値下げが始まるかもしれない。

toB

価格競争によって適正価格に落ち着くというのが自由市場だけれど、価格競争ができないtoBでの契約はかなり根深い問題なんだろうなと思う。

プラットフォーム料

これはまさに売り手の交渉力が強い例である。わかりやすいのはAppleとかGoogleとか。